五條悟と時渡るJK〜過去いま運命論〜(dream)

□07-ノストラダムスとJK
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「あれ? てか、今日平日だよね? ごじょーさとる、学校は? サボり?」

 ごじょーさとると会ったのはお昼少し過ぎだし、ランドセルも背負ってなかったから不思議に思って聞いてみる。

「ここら辺にノロイがわいてるから、バツジョのためにサボらされた」

 そこら辺のジュジュツシより強ぇから、俺。とごじょーさとるは、シェイクを吸い始める。

「へえ、そっちは学校よりもバケモノ退治がゆーせんなんだ」
「ちげーよ。いつもはガッコー優先。……ここ最近はイレギュラーにわいてるから、俺が特別対応で手伝ってやってんの」

 シェイクを吸うけどもう飲み切っちゃったみたいで、ズズズッという音しか聞こえなくなる。

「イレギュラーって?」
「ノストラダムスの大予言のせいだよ」
「のすとらだむす?…てなに?」
「……テレビとか見ないの?」
「うん、見ないかな……」

 元の時代でもアミはそんなにテレビは見てなかったから、嘘じゃない。

「ノストラダムスは昔の予言者」
「へぇー」
「そいつの予言の中の一つに、1999年9月9日に恐怖の大王がやってきて世界の終末が訪れるだろう。ってのがある。――ここで問題。今日の日付は?」
「あ、1999年9月9日!」
「そういうこと」

 ごじょーさとるは、空になった紙コップをトレーに戻した。
 
「えっ、でも、なんで? 予言は予言でしょ? バケモノ関係なくない?」
「ここ最近、世紀末思想の奴等や、新興宗教のプロパガンダに良いように使われてんだよ。それのせいで漠然とした不安や恐怖なんかの負の感情が煽られて、ジュレイ――アミの巷でいうとバケモノを発生させてる」

 そういえば、渋谷についたときに、終末とか、世紀末とか騒いでた人たちいたけど……。

「でも、それ、おかしくない?」
「どの辺が?」
「いや、ちょっと違うかもだけどさ、アミだってバケモノが弱い心に近づいて来るのは知ってるよ。でも、その、のすとらだむすの予言? 絶対嘘じゃん。ありえないって!」

 アミが本当に1999年の時代に生きてたとしても、絶対にその予言は信じないと思う。――明日は来るに決まってんじゃん! 普通に考えたら!!

「そんな予言信じる人いるの?」
「信じる奴らがいるから俺がここにいんだよ」
「えぇ……」
 
 その人たちって心が弱い以前に、ちょっとお馬鹿さんなんじゃないかな?

「信じてないって表面上つくろってても、心の奥底や無意識の部分で恐れてたりしてれば、それがノロイの温床になる。今年に入ってから人災や災害が続いてたし、そういう理不尽や不安を何かのせいにして理由づけしたいヤツが多いんだろ」
「ふーん…」

 アミには信じられない世界設定だなー。
 結局、勝手にみんなが不安がってバケモノを呼び寄せてるわけでしょ。
 いい迷惑だよねー。まったく……。まあ、今のアミには関係ないけど。

「そしたら、ごじょーさとるはこれからバケモノ退治なんだ。大変だね、頑張って」
「舐めんな。問題ありそうな高位のヤツは倒し終わってるに決まってんだろ」
「えー、凄いじゃん! じゃあ、もう帰るだけてきな?」
「いや、後はまだ“見込み”が残ってる」
「見込み?」

 そういうと、ハンバーガー屋さんの外を眺めるごじょーさとる。

「……まあ、何もない可能性もあるけど。一応確定するまでは渋谷で待機」
「へー、なんかよくわかんないけど、ごじょーさとるも大変そうだね。ファイト!」

 小さなヒーローに向かってエールを送ると、アミはトレーを持って立ち上がった。

「じゃあ、ご飯も食べ終わったしアミ行くね! 元気に生きなよ!!」
「ザケンナ、誰が逃がすか」

 テーブルの脚をガンッて蹴って睨み付けてくるごじょーさとる。足ぐせ悪いなぁ、もぅ…。

「だからぁ、なんでごじょーさとる、そんなに絡んでくるわけ? なに、アミのこと好きになっちゃった? ごめんだけど、年下は論外だから。大きくなって出なおしておいで」
「俺だって頭悪そうなババアは願い下げだよ」

 ごじょーさとるは座ったままアミにガンを飛ばし続ける。

「オマエみたいな不審人物を野放しになんかしておけねーよ。
“見込み”のカタがついたらコーセンに保護させるから、それまで俺と一緒にいろ」
「えぇッ……」

 9歳児に保護されるとか。あり得ないんだけど。
むしろアミが保護してあげるべき??――いや、アミの施設もクソみたいな感じだし、アミもすぐ死んじゃうから守ってあげられない。うん、無理だね。

「ていうか、アミ、遊びに行きたいんだけど…」

 プチごじょーさとるに会ったせいで気が抜けちゃって、バケモノのごじょーさとる探しもどうでもよくなっちゃった。

 1999年の渋谷をもっと満喫したくて、アミの心は今ウズウズしてる。
 と、その時、渋谷に来たけど1人じゃ出来なかった事を思い出して、アミは名案を閃いた。

「あっ、じゃあ、ごじょーさとる、アミに付き合ってよ!! バケモノ退治終わって暇なんでしょ? ごじょーさとるといれば、アミも遊べるし! “いっせきにちょう”ってやつ!!」

 アミ、天才じゃん!と笑えば、ごじょーさとるは面倒くさって顔をした。



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